【解説】グーグルフォーム×エクセル その3 (データフィルター ダウンロード可能)
グーグルフォームのラジオボタンで作ったアンケートから データを抜き出し、数値に変えるテクニック
1 はじめに
前々回の入門編では、グーグルフォームの使い方や、エクセルとの連携方法について、基本的なことを紹介しました。大まかな処理の流れは、次のようになります。
(再掲)
Step1 グーグルフォームでアンケートを作成する(難易度★★)
Step2 リンクのQRコードを作る(難易度★)
Step3 QRコードを利用して、各端末で回答してもらう(難易度★)
Step4 グーグルフォームからエクセルへ回答データをコピーする(難易度★)
Step5 回答データから、数値を抜き出す(難易度★★★★★)
Step6 数値を基に、集計結果を表やグラフ、文章等にまとめる(難易度★★★★)
(★の数は、個人の感想です)
前回は、Step5が少しでも簡単になるように「グーグルフォームリーダー」というエクセルのファイルを作り、その使い方を紹介しました。
ところで、個々のアンケート結果をすべて数値化する必要がある場合はどうしたらよいのでしょうか。入門編では、LEFT関数を使うというヒントのみ示しましたが、大量のデータを関数で処理するとエクセルの動作が重くなります。そこで、マクロを組んで処理するわけですが、今回はその方法の説明ではありません。いつも使用しているファイルを改造して「グーグルフォームフィルター」という汎用ソフトを作ってみました。
2 グーグルフォームデータフィルターの使い方
(1) 画面構成
「グーグルフォームフィルター.xlsm(ファイル名は自由に変更できます。)」は、下の画面のような構成です。データ貼付エリアに回答データを貼り付けた後、「データフィルターを実行する」という青いボタンをクリックすると、数値化できます。
サンプル数は500まで枠がありますが、実際は500を超えても動作します。同様に設問数も50を超えても動作します。
(2) グーグルフォームデータフィルターの使い方
① グーグルスプレッドシートからタイムスタンプも含めてデータを貼り付ける。
② 設問数を入力する。
③ 抜き出す文字数を選択する。
「すべて」…文字をそのまま抜き出します。学年や出席番号など、回答者の属性
を示す設問や、記述式の設問で使用します。
「1文字」…左から1文字抜き出します。
「2文字」…左から2文字抜き出します。
④ マクロを実行する。
* 設問内容はメモ程度の扱いです。入力しなくても構いません。
* フィルター後に「データ並べ替え」ボタンをクリックすると、C列をキーにして
昇順で並べ替えをします。それ以外の並べ替えは手動で行ってください。
(3) アンケートの選択肢をつくるときの注意
回答を数値化したいときは、選択肢の先頭に「数字」+「スペース」を入れます。
下の例では、「1 りんご」「2 梨」「12 いちご」は、半角数字で番号を振っています。
また、「3 みかん」「4 ぶどう」「16 バナナ」は、全角数字で番号を振ってい
ます。
【例】
この設問に対する回答は、グーグルスプレッドシートでは、次の画面のようになりま
す。全角数字と半角数字、全角スペースと半角スペースがきちんと区別されていることが分かります。
このデータをグーグルフォームデータフィルター.xlsmに貼り付けます。
設問1では「すべて」、設問2では「2文字」を選択します。2文字を選択したのは、2桁の番号が使われているからです。さて、マクロを実行すると、どんな結果が待っているでしょうか。
なんと、全部きれいな半角数字になりました。無事、数値化が成功しました。
なぜ、こうなったかというとエクセルの仕様によります。マクロで抜き出した文字は、順に、半角「1_」、「2_」、全角「3_」「4_」、半角「12」、全角「16」ですが、セルに入力した時点で「1」「2」「3」「4」「12」「16」ときれいに数値になります。スペースをはさんだことがポイントになっています。結果オーライ。
そして、その他の「オレンヅ」は「オレ」になるという順当な結果です。その他を入れたいときは、選択肢に「7 その他」のように書くしかありません。この場合、その他の内容を記述させることはできません。どうしても、記述させたいときは、条件分岐を用いて記述式の設問(「その他を選んだ人は、その内容を記入してください。」等)にリンクさせるとよいでしょう。(その他の憂鬱)
注)オレンヅはギャグです。本気で間違っていると誤解する人がいるので念のため
(4) ラジオボタン(単数選択)とチェックボックス(複数選択)について
グーグルフォームフィルターは、ラジオボタンにのみ対応しています。チェックボックス(複数選択)には、原理上対応していません。
(5) 記述式への対応
グーグルフォームフィルターは、ラジオボタン主体のアンケートの中に記述式アンケートが混在しても、ラジオボタン部分を正しく数値化できます。記述式部分は「すべて」を選択することで、回答がそのままセルに残ります。つまり、記述式の設問を設定しても問題ありません。
3おわりに
アンケートの中には、個人ごとのデータをすべて数値にして打ち込むタイプがありま
す。かつて(今でも)、アンケート結果を人力で集計していたときには、このタイプが使われていました。いわゆる数字打ち込み地獄です。今回紹介した「グーグルフォームデータフィルター.xlsm」の構想は、その当時の記憶から生まれたものです。
マクロ入門編で紹介した方法とは違い、VALUE関数で数値化とかしなくてもよいので、こっちの方が簡単で便利だと思います。
前回紹介した「データリーダー」と今回紹介した「データフィルター」を場面ごとに使い分ければ、マクロを知らなくても「グーグルフォーム」のデータを「エクセル」で集計できます。ぜひチャレンジしてみてください。一度でも体験してしまえば、二度と「紙のアンケート」には戻りたくなるはずです。
グーグルフォームフィルターは下のリンクからダウンロードできます。
Zipファイルを解凍(展開)してから使用してください。