【解説】グーグルフォーム×エクセル その4 [活用例1 秋田県学習状況調査質問紙の自動集計]
1 はじめに
私がグーグルフォームを使ってみようと思ったきっかけ、それが秋田県学習状況調査質問紙集計の依頼です。正確に言うと、「質問紙と同じ内容のアンケートを年何回か取り、比較したいので協力してほしい」と頼まれたのがきっかけです。
すぐ思ったのは、「エクセルファイルにひたすら数値を打ち込む過酷な作業だけは絶対に避けたい」ということでした。1学級につき1時間くらいはかかるので、全校分を頼まれたら…。
幸いにして、グーグルフォームを知り、その結果をエクセルで処理するマクロを組んだおかげで、アンケート結果を即時処理できるようになりました。(アンケート終了後、5分程度で処理が終わります。)
しかしながら、今でも手作業でアンケート処理をしている方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。今回、私の手法を公開しますので、興味がある方はご覧ください。
2 グーグルフォームでアンケートを作成する
グーグルフォームのデータはウェブ上にあり、通常のファイルのように扱うことができません。実例を紹介するので、自分で同じように作成してみてください。
注) お互いのグーグルアカウントが分かっていれば、データをコピーすることができ
ます。(上級者向けです。)
ⅰ)フォームの説明
ⅱ)所属学級の選択
学級を選択させるときは、ラジオボタンよりもプルダウンの方がコンパクトな印象になります。たぶん、選択ミスも減ると思います。
ⅲ)質問1-1
まず、質問1-1を作成します。各選択肢には「1 当てはまる」のように、半角数字で番号を振っています。スペースも入れます。これは、エクセルのマクロで数値を取り出すための仕掛けです。回答を1つ選択させるために、ラジオボタンを使っています。
また、「必須」にチェックを入れることで、回答もれを予防しています。
ⅳ)質問1-2~質問2-6
質問2-6までは、質問1-1と選択肢が同じです。質問1-1のコピーを作成して、質問内容を直していった方が効率がよいと思います。コピー作成ボタンは画面の下の方にあります。
ちなみに、グーグルフォームではコピーペーストも有効なので、長い文章を入力する場合はコピペした方が速いし正確です。
ⅴ)質問3-1~質問3-2
質問3-1は選択肢が変わります。3-1を作った後、コピーして3-2を作ります。
ⅵ)質問4-1~質問4-4
質問4-1から、質問1-1と同じ選択肢に戻ります。質問2-6のコピーを作成して、ドラッグアンドドロップで、質問の順番を並べ替えてから、質問内容を直します。
質問の文章が長くなってきたので、コピペした方が安全です。この記事からダウンロードできるエクセルファイルには、質問内容がすべてデータで入っています。
ⅶ)質問5-1~質問5-2
質問5-1~質問5-2は、また選択肢が変わります。前と同じ要領で作成します。
ⅶ)質問6-1~質問6-9までの説明
「タイトル説明を追加」ボタン(TTマーク)をクリックして、説明文を入れます。
テキスト
あなたは次の教科の勉強についてどう思っていますか。当てはまる番号を一つ選んでください。また、選んだ気持ちにもっとも合うものの番号を一つ選んでください。
1 (当ては まる)または2 (どち らかといえ ば当ては まる)を 選んだ場 合は1~6、13から 選んでく ださい 。3(ど ちらかと いえば当てはまら ない)ま たは4 (当ては まらない )を選ん だ場合は 7~13から 選んでくだ さい。
ⅷ)質問6-1~質問6-9の作成
まず、国語の分を作り、コピーして他教科の分を作ります。1教科につき2問ずつあります。ちなみに、ラジオボタンを使っています。
ⅸ)質問7-1~質問7-3の作成
質問7-1~質問7-3は、全部選択肢が違うので、それぞれ作成します。
ⅹ)動作チェック(アンケート実施時の説明も兼ねる)
フォームが出来たら、画面上の「プレビュー」ボタンをクリックし、実際に入力してみます。
「プレビュー」画面です。「アカウントを切り替える」について質問されたら、そこは無視するように伝えます。
最後まで回答したら、「送信」をクリックします。
すべての質問を「必須」に設定したので、回答もれがあるとメッセージが出て注意を
うながします。(大変ありがたい機能です。)
送信後の画面です。「別の回答を送信」をクリックすると、もう一度回答できます。
(タブレット等の端末が不足しているときに使います。)
3 リンクのQRコードを作る
グーグルフォームで回答してもらうために、生徒にリンクを教える必要があります。
その方法はいろいろありますが、昨年度協議した結果「QRコードをカメラで読ませる方法が一番分かりやすいだろう」という結論に達し、実際にその方法で実施してきたので紹介します。もちろん、別な方法でリンクを教えるのもありです。
ⅰ)画面右上の「送信」をクリックします。
ⅱ)「フォームを送信」が開いたら、リンクマークをクリックします。
ⅲ)「リンク」が表示されます。マークの上で右クリックします。
ⅳ)ウインドウが開いたら「このページのQRコードを作成」を選択します。
ⅴ)真ん中に恐竜がいるQRコードが作成されます。
【恐竜が嫌な場合】
「QRコード作成 無料」等で検索すると「QRのススメ」というサイトが見つかりま
す。非常に便利なサイトなので、私はブックマークバーに登録しています。
ⅲ)の画面で取得したリンクを所定の欄に貼り付け、「作成する」をクリックします。
オーソドックスなQRコードが作成されたら、ダウンロードして使います。特に設定を変える必要は感じませんが、いろいろアレンジすることができます。
ⅵ)完成したQRコードをワープロソフト等に貼り付けて配付します。
その際、一人に一枚ずつ配る必要はありません。学級の列に1枚、あるいは班に1枚で十分です。
4 アンケートを実施する
ⅰ)アンケートの準備をする
① アンケート実施の前に、回答の受付を開始しておく必要があります。「回答」を
クリックすると下のような画面になるので、右側のボタンをチェックします。
② 受付中になると、画面がリアルタイムで変わります。アンケート終了までこのま
まにしておきます。
ⅱ)各学級でアンケートを実施する
QRコードを配布し、生徒のタブレットで読み取らせます。このとき、だまって生徒に回答させると、ろくに読まないで適当に選ぶことがあります。学級担任が事前に趣旨を説明したり、途中で質問を受け付けたり、ステップを区切ったり、紙のアンケートを実施するとき同様の気配りが必要です。
5 アンケートの処理をする
ⅰ)グーグルフォームで スプレッドシートにリンクをクリックして、新しいスプ
レッドシートを作成します。
ⅱ)下のような画面が開いたらグーグル側の準備はOKです。
ⅲ)エクセルソフト「学習アンケート(データフィルター).xlsm」を開きます。
ⅳ)グーグルスプレッドシートから、全データを範囲選択し、エクセルファイルに貼り付けます。オプションは「貼り付け先の書式に合わせる」を選びます。
ⅴ)データを貼り付けたら、エクセルファイルを上書保存します。グーグルスプレッド
シートは閉じてもかまいません。
ⅵ)「データフィルターを実行する」ボタンをクリックします。データが学年・学級ごとに並べ替えられます。
このデータを、県の入力ファイルにコピーペーストして作業終了です。
(担当者が全校分を一括して作業することをお勧めします。その方が間違いが少ないし、効率的です。)
ⅶ)まとめの冊子の作成
① エクセルソフト「学習アンケートのまとめ.xlsm」を開きます。
(オリジナルファイルは、残しておいて、コピーに適当なファイル名を付けて使ってください。)
② 1年~3年集計表が別々になっているので、データフィルターから各学年のデー
タ貼り付け範囲にコピー(値の貼り付け)してください。これは、手作業になりま
すが、たった3回なので、しっかりデータを確認しながら確実に行ってください。
③ 結果のシートには関数が入っているので、後は印刷するだけです。
* 学習状況調査ではこの作業は必要ありません。
6 グーグルフォームの後処理をする
アンケートが終わったあと、やっておくことが3つあります。タイミングとしては、
エクセルでの集計がすべて終わった後の方がよいと思います。同じフォームを使って何回もアンケートをとる場合、この作業は必須です。
ⅰ)「すべての回答を削除」
3つの点のマークをクリックすると、ウインドウが開くので、一番下の「すべての回答を削除」を選択します。(これにより、スプレッドシートが空になります。)
ⅱ)「フォームのリンクを解除」
3つの点のマークをクリックすると、ウインドウが開くので、上から3番目の「フォームのリンクを解除」を選択します。
ⅲ)「回答の受付終了」
「回答を受付中」の右にあるスイッチをクリックします。
7 専用ソフトのダウンロード
グーグルドライブからダウンロードできます。下のリンクをクリックしてください。
学習アンケートセット.zip
内容) 学習アンケート(データフィルタ).xlsm
学習アンケートのまとめ(原版).xls
動画による説明(グーグルフォーム→エクセル)
デスクトップ画面を録画して、文章では分かりにくい部分を説明しています。